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絵理奈は総務部なので部署は別だが、営業部とは書類のやり取りが多いため正木のことは絵里奈もよく知っている。それでなくても正木と晴は一緒にいることが多かったので絵理奈は必然的に顔を合わせることが多かった。
正木は人当たりが良く、柔和な雰囲気は社内だけではなく、お客にもウケが良かった。
しかし、優しいだけでは営業部では勝ち残れない。ハウスメーカーの営業は思っている以上に仕事がキツイ。
彼が営業部で成績を保持し続けられたのは、優しさに加えて、お客の要望に応えられる幅広い知識やそれをカタチにできるリサーチ力やプレゼン力を合わせ持ち、さらには相手を安心させたり、信頼させることのできる説得力のある話術も兼ね備えていた。
要するに、仕事熱心であると同時に、お客様のための努力を惜しまない人物なのだ。
住宅の受注案件を抱えることはかなりの注意力が必要であり、ストレスもかかる。それが正木のようなトップクラスの営業マンとなれば、抱える案件は一件や二件ではない。心身ともにかなりの負荷がかかる仕事だった。
しかし、そんな中でもほとんど弱音を吐かないどころか、辛い部分を表に出さない彼を晴は尊敬していたし……憧れてもいた。
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