恋とか愛は、背伸びのあとで。

2. 大家代理

晴はその前からあることで正木に相談に乗ってもらっていたこともあり、そのお礼のつもりで、正木の負担を減らすべく、自分にできることがあればと通常はしない営業の業務を手伝った。

晴はもともと気さくな性格であったし、子供好きなところがあるので家を建てたいという若い年齢層の顧客にすぐに溶け込んだ。
晴の仕事ぶりは周囲の人間に『営業に向いている』と言われたほどで、正木と晴のコンビネーションは社内で一目置かれていた。

しかし、それはあくまでも正木の退職を無事に迎えるためのものだったので、正木が退職した後、周りの社員には引き留められたが晴はまた事務に戻った。

晴が慣れない営業職で他の社員からそのような評価をもらえたのはあくまでも正木の存在があったからだと晴も自覚していたからだった。