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絵理奈と話す間にも晴は正木にメッセージを送った。
数分後に返信があったことは絵里奈にもわかった。
返信を受け取った時の晴の表情は、晴が思っているより顕著に変化していたからだ。
「お礼、何にするか決まったの?」
絵理奈は食べ終わったロコモコ丼の空パッケージを横に避け、ずいっと上半身をテーブルの上に乗り出してきた。
「明後日の土曜、仕事の後に食事することになった」
晴が何かお礼をしたいと正木にメッセージを送ると、正木の方から一緒に食事をしようと逆に誘われた。
晴の会社の通常の休みは土日ではなく火曜日、水曜日、が休日になる。希望を出せば土日に休みを取ることは可能だが、今週の土日は仕事を入れていた。
「食事だと結局正木課長が支払ってくれちゃうからお礼にならないんだけどね」
晴は苦笑いを浮かべたが絵理奈は満面の笑みだった。
「いいじゃないの。正木課長は晴と会えれば嬉しいんだし。それに……」
絵理奈の視線が再び自分の顔より下に向けられたので、晴は嫌な予感がした。
「別のお礼は食事の後でいいじゃない」
悪い予感は的中した。
「……するわけないでしょ」
晴は絵里奈にピシャリと言うと、「もう行こう」と席を立った。
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