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正木と会う時は光太郎も一緒であることが多かったため、いざ光太郎がいないとなると、晴の緊張は高まった。
「お母さん……わざわざ今日のためにお願いしたんですか?」
だとしたら申し訳ないと晴は思った。
「いや、偶然向こうから連絡があってね。たまにあるんだよ。光太郎と一緒にご飯を食べて、ついでにあれやこれやと買ってくれたりする。あんまり甘やかさないでくれとは言ってるんだけどね」
「正木課長は……」
「課長はもうなし、って言っただろ?」
正木にそう言われて晴は咳払いをして言い直した。
「正木さんは行かなくて良かったんですか?」
「俺がいない方がいいんだよ。俺がいると光太郎を思うように甘やかせないからね」
正木は笑った。
「だから俺としてはラッキーだったよ。香山さんと二人きりで会えるんだからね」
晴が運転席を見ると正木と目が合ったが、晴はどんな顔をしていいのかわからず目を逸らして両手で頬を覆った。
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