1818人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
……それから正木と晴はお互いに時間を忘れて話し込んだ。
同じ職場にいた二人に話は尽きない。
晴に至っては久しぶりの再会とあって随分色々と話してしまった。
しかし、再びグラスが空になる頃、晴は腕時計を見て焦った。
もうすぐ九時になるところだった。
「正木さん、光太郎くんの迎え、大丈夫ですか!?」
普段なら光太郎はもう寝る時間だ。
「そうだった」と言いながらも正木に慌てる様子はない。
「言ってなくてごめん。さっき母親から連絡があったんだ。今日は一人でばあちゃんの家にお泊まりするってさ」
「お泊まり?」
「ああ、母のところには一通りのものは揃ってるし、なんだか光太郎も一人で泊まるって張り切ってるみたいだよ」
「大丈夫……なんですか?」
「大丈夫なことを祈るよ。一人でのお泊まりは初めてだけど、まあ、光太郎にとってもチャレンジだよ」
正木は子供の成長を見守る父親の顔で笑った。
最初のコメントを投稿しよう!