2. 大家代理

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店の外に出ると、少しばかり夏の勢力が劣ってきたのか、涼んだ風が頬を撫でた。その心地よさに少し首を横に傾けると風が髪をなびかせ、耳から首元にまでこもっていた熱を掻き出してくれた。 「飲みすぎちゃいました」 晴は正直に白状した。 「たまにはいいんじゃない? いつもこうってわけじゃないんでしょ?」 はい、と返事をする口を作りかけて晴は考え込んだ。 そして、少しはしゃぎ過ぎたかもしれないと自分を嘲るように笑った。 その時、急に足を取られて身体がガクンと前につんのめった。 ため息は急遽(きゅうきょ)悲鳴に変わり、咄嗟に腕を前に突き出した。 すると、その手が地面につく前に、晴の身体に正木の腕が伸びてきて、一瞬にして晴は正木の胸の中に引き寄せられた。 正木は一つ息を吐き出すと、「よかった」と晴の頭上で微笑んだが、腕を緩めて晴の顔を見ると、片方の眉を下げて今度は小さくため息を漏らした。 「いつもこうだったら俺が困る」
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