2. 大家代理

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「うるせえな……」 うつ伏せに倒れていた人物がその大きな身体で寝返りを打ち、仰向けになった。見下ろしてもわかる大男だ。 「香山くん、外に出よう」 正木は晴を引き寄せて外に出ようとしたが、正木の腕の中で晴の足が止まった。そればかりか晴はその男の顔を確かめるように首を伸ばした。 すると、男の方も同時に首を伸ばすように寝転んだまま二人の方へ顔を向けた。男は細い目で二人を見ると、再び首を倒して仰向けになった。 「香山さん近づかない方がいい」 正木は腕に力を込めて晴を引き寄せたが、その時にはもう晴はその人物の顔を完全に認識できていた。 「……史月くん!?」 晴はその男に呼びかけた。 横たわっていたのは自称大家代理の雨宮史月だった。
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