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「え? もしかして……知り合い?」
思わぬ展開に正木は言葉を詰まらせた。
晴は「はい」と返事をすると、緩まった正木の腕からすり抜けて史月に駆け寄った。
「史月くん、こんなところでどうしたの? 具合が悪いの!?」
晴は史月の肩に触れ彼の身体を慎重に揺さぶった。
二度目の晴の大声に史月は唸りながら再び目を開けた。
史月のぼやけた視界に心配そうに覗き込む晴の顔が映り込んだ。
「……おせーよ」
「遅い? ってうか、大丈夫なの? こんなところで倒れてるなんて何があったの!?」
「……別に倒れてたわけじゃねえよ。寝てただけ」
「寝てた?」
正木でなくても、晴の方も色々と理解が追いつかなかった。
「すげえ眠かったから」と史月は混乱する晴に説明したが、もちろん晴が欲しかった説明ではない。
史月はその眠気がまだ継続しているのかあくびをした。
「えっと……とにかく、身体は何ともないのね?」
「……何ともねえよ」
「よかった」と晴は安堵の息をついて床にへたり込んだ。
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