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正木はそんな晴に歩み寄り再び彼女の身体を支えた。
そして、そこで初めて正木は横たわる史月の顔を見た。
「君の無事が確認できて良かったわけだけど……」と正木は切り出しながらも、内心では晴の“よかった”という言葉には賛同しかねた。
「さっきから気になってるのは、彼女の留守中にどうして君が家の中にいたかってことなんだけど」
正木は硬い口調で言った。
晴はハッとして背筋を伸ばした。
本来なら自分が真っ先に聞かなければならなかったことだった。
正木の言葉に「そうだ、それ!」と思い出したように晴は声を上げた。
「そもそも何で家の中にいるの? 勝手に入られたら困るんだけど!?」
晴の言葉を聞きながら正木の顔は曇った。目の前の人物が晴の知り合いとはいえ、まだ信用できる人物だとは思えなかった。
そして、史月の方も同様に、正木のことを訝しんでいた。史月は上半身を起こして細い目で正木を見たがその目もすぐに逸らし、晴の方を見た。
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