3. 男の勘

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「史月くん、いつからここにいたの? 喉乾いてるでしょ? 何か飲まなきゃ熱中症になっちゃう」 晴は立ち上がって奥の台所へ向かいかけ、正木を振り返った。 「正木さん、あの……こんな状況ですけど、良かったら上がってください」 晴に返事をする前、正木は史月と目が合った。 「ありがとう。せっかくだからお邪魔するよ」 正木は史月とぶつかった視線を逸らし、晴に微笑んだ。 晴はホッとしたような顔を見せると、台所へ入って行った。 正木が靴を脱いで上がろうとすると、背中からぼそりと声がするのが耳に入った。 「あがるのかよ」 正木が振り返るといつの間にか史月が身体を起こし、座ったまま自分の方を見ていた。 正木は小さく息を漏らした。 「彼女がああ言ってくれてるし、もともとそのつもりでここに来たんだ。彼女が美味しいハーブティーをご馳走してくれるってね。君の存在が予定外だっただけだよ」 正木が史月の横を通り過ぎようとすると、史月が笑った。 「オッサン、“彼氏”じゃないんだろ?」
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