3. 男の勘

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正木がグラスを持ち上げると、ガタガタと音を立てながらが這うようにして和室に入ってきた。 そして、晴の手元からグラスを奪うと、中身を勢いよく喉に流し込んだ。呆気に取られている二人の前で、史月は自分の分だったもう一つのグラスにも口をつけ、立て続けに飲み干した。 そして、そのまま倒れ込むようにして正座をする晴の腰に腕を回すと、そのまま彼女にしがみついた。 「え、ちょ……ちょっと何!?」 突然のことに晴は逃げる間もなかった。 「ハル……」 「……は、はる!?」 飛び退けようにも身体に巻き付く彼の腕が重い。 「なんか頭がガンガンして気持ちワリイ……」 擦り寄る彼の身体が異様に熱い。 「え、史月くん、大丈夫!?」 晴は自分の膝の上の史月の髪を掻き上げ、彼の頬に触れた。 ついさっきまで冷たいグラスに触れていた晴の手のひらが、史月の熱でぬるまっていく。 「もしかして……熱中症?」 「どうしよう」と晴が呟きかけた時には、すぐそばに正木がやってきていた。
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