3. 男の勘

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彼は史月の身体を晴から引き剥がすようにして、史月を畳の上に仰向けに寝かせると、晴には保冷剤を持ってくるよう指示をした。 そして、それを受け取ると手早く史月の脇の下や膝の裏など関節部分に当てがい、史月の身体を冷やし始めた。 その後も、正木の指示で吐き気に備えビニール袋やタオルなども用意し、運よくあったスポーツドリンクも史月に少し飲ませた。 しばらくすると、楽になったのか、史月は静かな寝息を立て始めた。顔色もいい。もう心配なさそうだった。 「良かった……」 晴はおでこに熱冷まし用のシートを貼り付けた史月の寝顔を覗き込みながら胸を撫で下ろした。 「正木さんがいてくれてよかった……。私一人ならどうなってたか……」 「光太郎も熱中症になったことがあってね。その時は俺も慌てて病院に駆け込んだんだけど、その後対処法知っとかなきゃって思って調べたんだ。子供は身体が小さいし、何かに夢中になってたら水分も取らずに続けたりするからなりやすいみたいでさ」 晴は改めて正木の光太郎への思いの強さと行動力に感心した。
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