3. 男の勘

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そして、(いま)だに場所を取っている史月を見下ろして言った。 「このままじゃ香山さんも困るだろうから、俺がついでにも送るよ」 正木の提案に晴は即座に首を横に振った。 「いえ、そんな。正木さんはすぐに光太郎くんを迎えに行ってあげて下さい。お母さんも大変でしょうから」 「でもこのままじゃ、香山さんが困るだろ?」 「私なら大丈夫です。いざとなったらタクシーでも呼びますし、まだ寝てるのでもう少し様子を見ます」 晴たちは寝ている史月に気を遣って声を抑えているわけではないが、史月は起きる気配もない。 「だから、子供は任せて下さい!」  晴は正木を玄関に促すように背中を押した。 正木は身体を玄関の方に向けながらも、顔を居間に残して史月を見た。その身体の大きさとは似つかないあどけない寝顔を見て正木は諦めをつけるように大きく息をついた。 「……わかったよ」
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