II

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「……あなたさえ良ければ、その坊や、私が消してあげますよ」  それを聞いた男は怪訝な顔をした。 さぁ、こちらにいらしてください。まだ席は空いていますよ、そう言いながら会場に男を案内した。それから私は男の子の手を引いて、楽屋に戻った。    その子は小枝のような手足をしていた。髪は何日も洗っていないのかクシャクシャで、肌も子どもとは思えないくらいカサカサだった。ボロ切れのような服を着たその子は、私を見上げてこう言った。 「ぼくは、どうしたらいいの?」 「いいかい、私が合図をしたらこうするんだ」 それを耳元で囁くと、彼は目を輝かせた。  
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