3人が本棚に入れています
本棚に追加
「……あなたさえ良ければ、その坊や、私が消してあげますよ」
それを聞いた男は怪訝な顔をした。
さぁ、こちらにいらしてください。まだ席は空いていますよ、そう言いながら会場に男を案内した。それから私は男の子の手を引いて、楽屋に戻った。
その子は小枝のような手足をしていた。髪は何日も洗っていないのかクシャクシャで、肌も子どもとは思えないくらいカサカサだった。ボロ切れのような服を着たその子は、私を見上げてこう言った。
「ぼくは、どうしたらいいの?」
「いいかい、私が合図をしたらこうするんだ」
それを耳元で囁くと、彼は目を輝かせた。
最初のコメントを投稿しよう!