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III
後半のステージが始まった。
前半と比べて、人の数が増えていた。私はステージに飛び込むと、大きくな声で告げた。
「お集まりいただいた皆さん! お待たせいたしました……次の手品は、『瞬間移動』です」
本日のゲストはこちら! そう言うと少年がステージに飛び出てきた。フランソワーズに任せて正解だ、ステージ映えのする化粧に紫色の派手な服。さっきの彼とは別人だった。
「これから、彼はステージから姿を消します」
そう言いながら、彼を大きな布ですっぽりと覆った。ステージの上には私と、その小さな人の形をした布の物体しかいない。
「スリー、トゥー、ワン!」
私は思いっきり布を剥ぎ取った。
そこには少年の姿はなかった。
ザワザワと客席が騒がしくなる。
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