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エピローグ
私が楽屋に戻ると、少年が椅子にちょこんと座っていた。
「よくできたじゃないか」
私はその頭をわしゃわしゃと撫でた。
「……僕はこれからどうすれば」
「少なくとも、アレの元に戻る必要はないんじゃないか?」
少年は下を向いた。
「さっきの人、だれ?」
「あぁ、公園の入り口にいた人かい? あれは臨時で雇った、若手の奇術師さ。なかなかいい演技だったろう」
「ふーん」
彼は床についていない足をブラブラとさせていた。
「……君の名前は何て言うんだい?」
「アルフレッド」
「そうか、じゃあ君のことはアルって呼ぼう」
「……」
「嫌かい?」
「別に……」
「アル、実は最近、助手をもう一人増やそうと思っていてね。あそこにいる助手、実は私の妹なんだけれど、人手が足りなくてかなり苦労させてしまっているんだ」
「そうなんだ」
「ステージ上の君の態度、とても素人とは思えなかった。話が長くてごめん、つまりだな」
君さえ良ければ、私の仲間になってくれないか?
私は彼にそう告げた。
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