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第2話 夫の帰って来ないある夜のこと
『カスミ、ゴメン仕事が終わらないんだ。明日お客様と大切な打ち合わせが有るから今夜は徹夜する。 夕飯は要らないからケンイチと食べておいて……。』
私は思わず自分の寝室にカギを掛けた。
なんだろう? 怖いって言うのかな……ケンイチの目が……私の冷静さを奪っていく。
「ふうん……父さん帰って来ないんだ……。」
《だから何?》と言いたい。
「お父さん仕事頑張ってるんだね……。」
何とか自然な会話として成立できたかな。
ケンイチは夕飯が済むと自分の部屋へ帰って行った。
少しホッとした私がいる。
私も台所の片付けは、そこそこにして、夫婦の寝室に巣籠もりだ。
まだ今の夫と結婚して2ヶ月。 ケンイチとも短い期間しか一緒に暮らしていないわけで……
母親と息子という関係ではあるが、気持ちはまだまだ遠いのだ。
お互い遠慮し過ぎるのも問題かとは思うが、今はケンイチの目が恐いのだ。
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