朝比奈 結

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朝比奈 結

愛はね、最強なんだよ どんなに使ったって、無限にあるんだ 何処に居たって、何処にでもある 気付いても、気付かなくても いつから気付いたっていい 愛はね、とっても優しいんだよ 中1の冬、いつもそう言って笑っていた父さんが亡くなった 「(ゆい)君、本当に行くのかい?」 「はい、色々有り難うございました。すみません、結局俺何にも出来ないで、全部皆さんにお任せする事になってしまって…」 「そんな事は気にしなくていいんだよ。これまでだって、この教会は、そうやって皆で守ってきたんだから。それより、その、結君が尋ねて行く人とは、一度も会った事がないんだろう?私達は、朝比奈(あさひな)神父から、ご親戚の話を聞いた事がなかった。心配だなぁ」 確かに…… 俺もずっと、両親の親戚は居ないのだと聞いていた だから、親戚じゃないのかもしれない だけど、これは、父さんが遺してくれたものだから 「不安はありますけど、父さんの知り合いなら、きっとどうにかなると思います。どうにもならなかったら、また、帰って来てもいいですか?」 「もちろんだよ!皆、君が赤ん坊の頃から知ってる、家族みたいなもんなんだから。いつでも帰っておいで?」 あったかいな… 「ありがとうございます。じゃあ、俺行きますね」 「せめて、その人の場所まで一緒に行かなくて大丈夫かい?全然知らない土地だし、こんな田舎とは違うだろ?まあ…私達も案内出来る自信はないけれど……」 「大丈夫です。沢山の人に聞いて、案内してもらいます。皆さんには、父さんと、母さんと、この教会も守っててもらいたいです」 「そうか…。気をつけて。いつでも待ってるよ」 「はい。ありがとうございます」 あったかい人達 父さんと母さんとの思い出の詰まった教会 ほんとは離れたくないけど 多分、父さんは、会ってもらいたいんだと思う 俺の知らないこの人に 新幹線乗っちゃえば、とりあえず一安心と 1人で遠出なんてした事ないから、緊張するなぁ どんな人なのかな 凄く遠縁の親戚とかなのかな? それとも友達? 突然俺が行ったら、驚くだろうな でも、住所しか書いてないから、電話出来ないし 一応1週間前に手紙は出しておいたけど、父さんの事、覚えててくれてるかな? 眠く…なってきたな…… 「いいかい?結。もしも、お父さんに何かあった時は、この人の所へ行くんだ」 「お父さんまで居なくなるの?嫌だよ!」 「そうだな。お父さんも、ずっと結と一緒に居たい。でも、それは誰にも分からないから。お母さんが居なくなっても、結が優しいままで居れたように、お父さんがもし居なくなっても、結には優しいままで居てもらいたい」 「それは…お父さんとか、皆が居るからだもん。お父さんが居なくなったら……僕1人になっちゃったら……」 「結、どんな時だって、何処に居たって、1人じゃないんだよ?それに気付けたら、また優しくなれるよ?結は、強くて優しい子だから、きっと気付いてくれる」 「難しくて、よく分かんない。この人は誰なの?」 「この人はね、お父さんのとても大切な人なんだけど、お父さんのせいで、あまり愛を感じられない場所で、ずっと頑張っているんだ。お父さんには難しいけど、結ならきっと、この人に気付かせてくれると思うから…」 「気付かせる?……何を?」
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