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あ……寝てた
もうちょっとか
駅に着いたら、駅員さんに聞いてみよう
人……多い!
流されるままに、こっち歩いて来てるけど、こっちで合ってるのかな?
なんか……
皆、早くて…早くて…声掛けれない
あ、改札
ふぅ~
ようやく流れから脱出出来た
改札の駅員さんくらいしか探せなさそう
戻って声掛けてもいいかな?
えっと……メモメモ
ん?
メモを確認している俺の前に、1人の男の人が立ち止まった
きっちりとしたスーツに、整えられた髪型、眼鏡…
「君、朝比奈 結君?」
「え?……なんで、俺の名前…」
「間違いありませんね?そのメモを拝見しても宜しいですか?」
「え……あ、はい。あの…あなたは?」
この人が、加賀美 伊織さん?
「失礼いたしました。申し遅れました。私は、加賀美副社長の指示により、あなたをお迎えに参りました、佐久間と申します」
「え?俺を…迎えに来てくれたんですか?」
「そうです。では、参りましょう。お荷物は、こちらだけですか?」
「あ、はい」
良かった
ちゃんと手紙届いてたんだ
お父さんの事覚えてたんだ
駅まで迎えに来てくれるなんて、優しい人だ
俺がモタモタしてたから、俺だって分かったのかな…
佐久間さんは、荷物を車まで運び、俺を車に乗せてくれた
「あの、ありがとうございます。正直、どうやったら、この住所まで行けるのか分からなくて、駅員さんに聞こうと思っていたんです。凄く助かりました」
「いえ。私は、指示された通りの事をしたまでですので」
「これから、その、加賀美 伊織さんの所へ行くんですか?」
「いえ、副社長は、とてもお忙しい方なので、お会いする事は出来ません。あなたをご案内するよう言われている場所へとお連れします」
「……そうですか」
副社長…
なんか、凄い人なんだ…
加賀美さんには会えないのか
お迎えまで出して、忙しいんだな
それに、お金持ちなのかな?
でも、ちゃんと俺が居てもいい場所、用意してくれてたんだ
もう夜なのに、凄い人の数
どこも明るい
色んな音
大きな建物がいっぱい
その中の1つの建物の地下へと入って行く
駐車場に車を停めると、
「着きました」
そう言って、佐久間さんは、荷物をおろして俺を案内してくれた
……え?
この建物、50階建て?!
都会って凄い
でも、凄く静かなエレベーター
静かにエレベーターが止まると、
ちょっとしたロビーみたいな場所が出てきて、幾つかのドアを通り越し少しすると、
「どうぞ、こちらです」
そう言って佐久間さんは1つのドアを開き、俺を中に入れてくれた
「あ、ありがとうござい………え?」
そこには、いわゆるテレビなんかで見るスイートルームみたいな光景が広がっていた
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