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そんな中、如月から連絡が入る
結君が怪我をしたから、これから九条の病院へ運ぶとの事だ
大怪我ではなさそうだが、すぐに準備して向かう為、伊織に説明する
必要な物をまとめ、すぐに出ようというのに、伊織が固まっている
いくら声をかけても、まるで聞こえていないようだ
「伊織!」
ようやく気付いて動き出す
この男が、固まってしまう日が来るなんて思わなかったな
車に乗り、状況を説明しても、ぼーっとしているようだったが、病院に着き、如月の顔を見た途端に殴りかかりそうな顔つきとなる
必要な書類を預けると、少し冷静になったようだ
どうやら九条に傷を縫ってもらっているようで、しばらくすると中へと呼ばれた
中へ入るとすぐに九条から話しを聞き、結君の元へと行ったかと思うと、まるで父親かのような眼差しで、言葉で、結君の頭を撫でている
なんだ、お前、そんな顔出来たのか
そんな風に、誰かを思えたのか
ちゃんと彩仁の弟じゃないか
結君の傍に居たそうだったが、如月から話を聞きたそうだったが、放ったらかしにしてきた仕事に戻る為、さっさと連れて帰る
また仕事に戻っても、集中なんて出来ないだろうが……
と、思っていたら、見た事のない集中力……
まるで伊織が2人居るかのようだ
1度抜けたというのに、いつもより早く仕事が終わった
これが加賀美 伊織の本気か……
さっさとマンションへ連れて行くと、如月に攻撃を開始するが、少し如月に言われただけで大人しくなった
そして、結君の状態を聞き、頭を撫でる
何故だろう
この、感情のコントロールが出来ない伊織は、今までで1番子供っぽい
感情を表に出し、自分以外のものに影響されて、仕事が捗らなかったり、物凄い集中したり
経営者としては、欠点だらけで、1から学び直した方がいいレベルだ
けれども、今までよりずっと信頼出来る
この人の為に、自分の出来る事全てを捧げたいと思う
加賀美副社長ではなくても、加賀美 伊織を支えていこうと思える
「佐久間、椅子は変えておけ。少しくらいぶつかっても怪我をしない物だ。如月、子供の手の届く範囲に酒を置くな。置く場所がないのなら酒は置かなくていい。冬の間は、外へ続くドアは鍵をかけておけ」
彩仁の息子は、伊織を変えたらしい
多分、俺も変わったのだろう
変わるという事は、大変な事だ
きっとこれから色んな問題が沢山出てくる
それでも、俺はもう、この叔父と甥っ子を見捨てる事は出来ないだろう
どんな結果になるかは分からない
でも、今度は、一緒に傍で考えていこう
「畏まりました」
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