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元義妹のひなたと思わぬ再会をしてから十日ほど経ったある日。たすくはいつまでたっても鳴らないスマートフォンを何度も見た。
「この俺様が電話番号を教えたのにかけてこない女がいるとは……」
昨日はこの前居酒屋で会った男と一緒に買い物している姿を見かけた。男のほうは、雑誌から抜け出てきたみたいな垢ぬけた服装で、顔も一瞬女と間違うほどきれいな顔をしている。
──まさか、彼氏か?
なんとなくひなたは色恋と最も遠いところに生きている気がしていた。
人付き合いも苦手で、友達も少ない。男子は特に苦手なようで、話しているところすら見たことがなかった。
記憶にある中学生のひなたとは雰囲気が変わった。年ごろの女は3年で随分変わるものらしい。
大学生になったひなたを一瞬可愛いと思ってしまった自分がいた。
普段からちょっとやそっとじゃ女に興味なんぞ湧かない。
なにせ、小さい頃からチヤホヤされて生きてきた。高校生だったたすくからしたら、中学生のひなたは別に恋愛対象じゃなかったが、一緒に暮らしていた時は保護しないと死んでしまう動物をペットにしたような気分だった。
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