お腹が空いたよォ

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お腹が空いたよォ

 ここは高校の校舎の屋上だ。  二時間目の終わりの休憩時間。  屋上には誰もいない。  他のみんなは受験勉強に(いそ)しんでいるのだろう。  すでにボクは推薦で進学が決まっていたので気楽なモノだ。  寝転がって、ゆっくりと空を見上げていた。 「ああァ……」  気持ちがいい。  天気も良いので爽快だ。  青く澄んだ夏の空を見上げているだけで心が癒やされる感じだ。  寝転がっているだけで汗ばむように暑い。  けれども、こうしてのん気に寝転がっていられるのも今のうちだけだ。  不意に重いドアが開く音がした。  たぶんあの子が来たのだろう。  ボクに駆け寄ってきて声が響いた。 「よォマコ。お腹が空いたよォ」  幼馴染みのマリアが、この世の終わりみたいな顔でボクに泣きついてきた。 「な、な、な、なんですかァーーーー?」  思わずボクは悲鳴を上げそうになった。
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