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マリア
その夜、ふて腐れてベッドで寝転んでいるとマリアからラインで連絡があった。
すぐに近くの公園へ来いと呼ばれた。
「ンううゥ」
仕方がないだろう。
ボクには拒否権がない。
「ちょっとコンビニへ行ってくる」
ボクは母親に断って公園へ向かった。
「ううゥ」
外へ出ると蒸し暑い。
八時を過ぎても今夜は三十度は有りそうだ。
通行人もチラホラいるだけだ。
公園までは急げば二分も掛からないだろう。
小さい時、よく遊んだモノだ。
公園の中へ入るのも久しぶりだ。
「はァはァ、ゴメン。待った?」
ボクは息を弾ませて、公園のブランコに乗っているマリアに手を振った。
思っていたよりもブランコが小さく感じた。
それだけボクやマリアの身体が大きくなった証拠だろう。
「ああァ、別に」マリアも会釈した。
LEDライトなので夜なのにかなり明るい。
「ボクも怒られたよ。マリアとは月とスッポンだってさァ」
すぐ横のブランコに腰掛けた。
ギシッと金属の鎖がきしむ音がした。
「ヤベェ、やっぱ子ども用だからな。体重をかけるのが怖いよ。まァマリアは軽いから良いだろうけど」
「そういえば昔、どっちがブランコで飛ぶか、競争したじゃん」
「まァ、マリアは負けると怒って勝つまで飛んでたけどなァ」
懐かしい想い出だ。
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