ブランコ

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ブランコ

 何しろマリアは負けず嫌いなので下手に勝つと余計に厄介になった。 「ねえェ、久しぶりにどっちが飛ぶか、競争しない?」  マリアはブランコをこぎながらボクを挑発してきた。 「えッヤダよ。ブランコが壊れたら子どもたちに悪いし」  防犯カメラも設置されているので、もしもブランコを壊せばすぐに発覚するだろう。  今はSNSで即座に拡散され顔がさらされる。 「平気、平気。じゃァ私から行くよ」  勢いよくブランコをこぎ始めた。 「ううゥ」目の前で巨乳が揺れてボクは目が離せない。 「ッたァーーーッ!」一気に宙に舞った。  まるで空を舞う白い妖精みたいだ。  かなり遠くまで飛んでみせた。 「あッ!」  両腕を広げキレイな着地だ。  心配したがバランスよく着地した。   「フフゥン、どう?」  マリアは振り返ってボクを見た。  かなり自慢げに微笑んだ。 「ああァスゴいよ。体重が軽いからできるんだよ」  ボクは六十二キロはある。  彼女は自称、四十五キロだと言うので、二十キロ近く軽いだろう。 「じゃァ、勝った方が何でも言う通りに出来るのね」  マリアは勝手に条件を出した。 「いやァズルいよ。ブランコが壊れるから、そんなに遠くまで飛べないよ」 「大丈夫よ。私が勝ってもマコができることしか命じないから!」 「いやァ怖いよ。そんなこと言って、一生、子分みたいに下働(したばたら)きさせる気なんだろう?」 「なによ。私に逆らう気なの?」 「いやいやァ、わかったよ」  やれば良いんだろう。  どうなっても知らない。  ボクは勢いよくブランコをこぎ始めた。
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