アタシの大切なともだち

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 ◆◆◆◆◆    ユカとは、一度家に帰ってから、山道の入り口で待ち合わせをした。ユカの腕に抱かれている巻き毛の茶色い小さな仔犬は、耳に、ユカのワンピースとお揃いの薄桃色のリボンを付けていた。    「アレ、クロちゃんは? 」  キョロキョロとエリの周りを見ながら、ユカが聞いてくる。  「クロはここにはいないの。行こう、クロに会いに 」  山道を指差すと、ユカが眉を顰める。  「山に入るの?」  「うん 」  「パパとママに怒られるよ? 」  「そう、クロを飼ってるのは内緒なの。だからユカも黙っててね 」  二人だけの秘密。その言葉は、叱られる事より、ユカの好奇心を勝たせたらしい。エリが足を進めると、ユカは後ろから付いてきた。  二人で山道を登る。スニーカーで毎日の様に登っているエリには大した事が無かったけれど、ピカピカのおしゃれな靴を履いて来たユカはしんどそうだった。  初めは次々に質問してきていたが、段々と言葉少なになってくる。答えられる事もあまり無かったし、エリにとっては好都合だった。  シルヴィとかいうバカ犬は、キャンキャンと吠えて、暴れるばかりでユカのしんどさに拍車をかけているみたいだった。  面倒くさい犬、羨ましくも何ともない。エリは、懐いているクロの方が賢くてずっと可愛いと思った。  やっと神社に着いた時には、見るからにユカはヘトヘトになっていた。
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