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修学旅行の季節
俺達は高校三年生になった。
今年は、三年生にとって部活の最後の大会と、受験勉強のみに注力する。
よって、うちの高校の『修学旅行』は毎年五月に実施されている。
私立高校は修学旅行で海外に行くと聞くけど、うちの高校は代々『京都』一択だ。花びらが散った葉桜の京都もなかなか乙なもんだと思う。中学の修学旅行先も京都だったけど。
同じ部屋に宿泊するメンバー、かつ自由行動の日のメンバーは、奇しくも『彼女いない』メンバーで固まった。俺、伊織、佐伯、古村、深津、蒔田の六人だ。
『彼女いる』班のメンバーは、示し会わせてダブルデート、トリプルデート、カルテットデート……をする予定らしい。ちなみに、告白イベントを水面下で企画している面々がいるらしく、『異性から呼び出しを受けたら、すべからく皆で協力すべし』と通達が来た。うちのクラスにも期待しているメンバーがいて、ソワソワしている。
正直に思う。くっそ羨ましい。
「ってか瀬名さぁ。何で彼女いないの?」
「二年の時のバレンタインデー、めっちゃ貰っていたじゃん。ホワイトデーもめっちゃ配っていたじゃん」
「残念ながら、全部、義理!」
俺をからかってきた彼女持ちの池田と杉浦が、気の毒そうな顔でこっちを見た。
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