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タケル先生が担任になってすぐ――四月上旬のある日。放課後、進路指導室に呼び出された。心当たりがありすぎる。朝のホームルーム中はシュークリームを食べていたし、課題は未提出だし、午後は保健室で昼寝していた。
教室の半分ほどの広さしかない進路指導室内へ。
中央には四人掛けのテーブルがセッティングされており、いかにも不機嫌そうな面構えのタケル先生が座っている。俺は得意の笑顔を形成し、彼の正面に腰を下ろした。
「話って何ですか?」
「君の生活態度に関してだ。前任の先生から話は伺っていたが、想像以上の酷さに閉口している」
「喋ってるじゃないですか」
「屁理屈を言うんじゃない! そのピアスとネックレス、だらしなく開いているシャツのボタン! どれも校則違反だぞ!」
「あ、香水もつけてまーす」
「なっ……! 校則を何だと思ってるんだ!」
「身だしなみを縛り付けることに意味はあるんですか? ピアスを外して頭が良くなるなら外しますけど」
「学校は社会の縮図とも言える場所。校則すら守れない奴が社会に出てルールを守れると思うのか? 『教師を敬え』などとおこがましいことを言うつもりはないが、君は完全に馬鹿にしているだろう。ここに入ってきたときから舐めている棒付きのアメも!」
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