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「なにすんだよっ! オレに触んなっ! 離せっ!」
「駄目だ。離したらお前、どっか遠い世界に行っちまうだろ?」
「おっさんには関係ないだろっ!」
「おっさんって……俺はまだ二十二だぞ」
「十一のオレから見たらおっさんだ」
「両親は?」
「……そんなものいない」
「どこに住んでる?」
「家なんかないっ! オレには家族なんて一人もいないんだよっ!」
「……幸せそうな家族が憎いか? ぶっ壊したくなるか?」
「……」
「何で自分だけがこんな辛い思いをしなきゃいけないんだ。みんな消えちまえ――」
まるで、オレの心を見透かしたように吐き出される言葉。訳も分からず涙が溢れてきた。
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