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それからどんな経緯・手続きがあったのか、詳しいことは聞かされていない。オレは正式に〝アニキ〟の家族となった。
最初は渋々といった様子のアニキだったが、すぐに「ノアは俺の家族だからな」と態度を一変させた。手続きの過程でオレの生い立ちを知ったのだろう。
やっと手に入れた本当の家族。
大切なオレだけのアニキ。
いつも一緒だった。
笑いながら食事して、ベッドで添い寝してもらって、お風呂ではしゃいで、アニキの腕を抱いて買い物に出掛けて――。
幼い頃に叶わなかった夢を、ひとつずつ埋めていくかのように過ごした。
……でも。
中学三年以降、アニキと一緒の風呂を拒否した。腕を抱いて歩くことも、添い寝もやめた。大好きな兄が、大好きな人へと変わったから。
心は隠すことができても、身体の反応は隠せない。
アニキの身体に触れたり、触れてもらったり……そんな妄想をしながら、一人でこっそり気持ちよくなった。
ドキドキと、少しの罪悪感。
でも……想うだけなら自由だよな?
叶わぬ恋でもいい。
この先もずっとアニキの傍に――。
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