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【side.エリック】――白
飲酒運転による事故。
突然奪われた両親。
粉々に破壊された俺の人生。
その破片を拾い集めるように修復してくれたのは、ひとりのガキだった。
そのガキはこの世の終わりのような顔をして、歩道橋の上から車道を見下ろしていた。
こいつ、飛び降りる気だ。
瞬時に察し、奴を制止した。
〝今がどんなに辛くても、生きていれば必ずいいことがある〟――なんて綺麗事は言わない。そんなことは思ってもいない。
〝理不尽な世界に負けるな〟
〝必ず生き延びろ〟
そう伝えた。
それはガキのためでもあり、自分のためでもあった。
自身に言い聞かせるために。
俺はあの夜、ひとりのガキの命を救い、救われた。
ノアを弟として迎えたあの日から、俺の人生は再び未来へと進み始めた。
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