きっとこれは運命だから

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「うわ、ほんとにアユミンなんだ。こんなとこで会うとは思ってなかったな。こっち、住んでるの?」 「うん、今年の春から。大学で」 「え、どこ? もしかしてT大だったりする?」 「そうだよ」 「さっすがー! アユミン中学のときからずば抜けてたもんな」  私の口を挟む隙がない勢いで、二人が盛り上がっている。  ……まぁ、突然地元の知人に東京でばったり会ったら盛り上がるのは想像できた。きっと、海外のレストランで隣に日本人が座ったら、急に同族意識を持ってしまうのと似たような感じなんだろう。  一頻り盛り上がって、はっとした岡野くんが肩を竦め、 「あ、バイト中だった。アユミン、元気そうでよかったよ。――急にお邪魔してごめんね、岡田さん」  そのとき初めて私に気づいたように小さく頭を下げ、岡野くんは店の奥へと戻って行った。  私とは同級生だと説明すると、歩美は岡野くんの後ろ姿を見送って、 「いやー、なんか笑っちゃうね。東京まで来て再会するとはね。しかも友達の同級生だっていう」 「……ね、すごい……『偶然』だよね」  私は『運命』と言いそうになって、『偶然』と言い換えた。  まさか。そんなはず。岡野くんの運命の人は……私なんだから。
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