きっとこれは運命だから

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 そう思いながらも、やけに心臓のあたりがじわじわと重くなった。  ……大丈夫。  だって、別に連絡先交換していたわけじゃないし。  きっと、また二人が出会うことなんてないだろうし。  この、人口が1000万以上の大都会で、また出会うとしたら、それは……。  私はそう考えて、目の前の歩美をそっと盗み見た。  もう、何事もなかったように嬉しそうにメニューを眺めている。  ――野暮ったい歩美の服装と、ぼさぼさの眉毛を見て、一瞬だったけど、私はほっとしていた。  歩美からメッセージが来たのは、一週間後だった。 『昨日からマックでバイト始めたんだけど、なんとマコッチもいたよ!』 「は!?」  自分の部屋のベッドで寝そべりながらそれを見た私は、跳ね起きてその短い文章を何度も読み返した。  聞いてないよ。  ――いや、別に報告の義務はないんだけど、でも……!  ――次の日、寝不足のまま大学へ行き、岡野くんと講義が一緒になる3時限目まで気もそぞろで過ごした。  待ちに待った3時限目、教室で岡野くんの姿を見つけ、私は早足でその隣の席に滑り込んだ。  座るや否や、 「岡野くん、あの、バイトってファミレス以外にやってないよね……」
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