第1話 普通の学園生活希望なのに……

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第1話 普通の学園生活希望なのに……

「このことを秘密にできる?」 「……うん、ボク約束はゼッタイ守る」  昔の夢か……小さい頃の夢。  あの子なんて名前だっけ?  ──って、今、何時?  あわてて飛び起きた。あわわっ遅刻するぅぅマズいよ~ッ!  入学式当日に遅刻って、私の高校生活が破綻しちゃう。急いで支度をして家から飛び出した。  ✜  うわ~、緊張するぅ~~ッ。  4月、高校の門をくぐった私は今日から高校生。  地元の高校には行かず、電車で30分かかる離れた高校に進学した。  理由はこの高校に演劇部があるため。  小さい頃、両親と一緒に劇を見て感動したのがきっかけ。  真っ暗な舞台にひと筋差す光の輪。  いつか私もあの光の差す白い輪の中に入ってみたくなった。  放課後、いよいよ演劇部のドアをノックする。  あれ、返事がないし、誰も出て来ない?    おそるおそる横開きのドアを開く。すると私の想像の斜め上をさらに超えて、想像力の限界を突破した。  女子、女子、女子、女子、女子、女子、女子、女子……。  演劇部って女子のみとチラシに書いてあったっけ?  思わず、朝、校門で配られた手元のチラシをみるが、そういったことは書かれていない。  見た感じ、この場にいる大多数の女子は私と同じ一年。  いったいなにが起きているの?  混乱したまま、入部届けを受付している女子を見つけ、たくさんの女子の中をもみくちゃにされながら、前へと進む。だけど、もう少しというところで、足元がなにかに引っかかった。 「あっ」  小さな声が出てしまい、やけにスローモーションに周りが映る。  目の隅に大きな影が入ると、背中に手が回った。 「イヤァ――ッ」  周囲で一斉に女子の叫び声が聞こえる。  なに……この絵画の中から出てきたような美しい男子(ひと)は。  私の背中をすごく大切なものを抱えるように膝をついている。 「あ、すみません」 「宇良先輩大丈夫ですか~ッ」 「心配はいらないよ」  あわてて、立ち上がり頭を下げる。  そばにいた同じ一年の女子が、目の前に立っている超絶イケメンの先輩の名を口にした。    わかったかも……。  この大勢の女子たちのお目当て。  私のようなモブ的存在が、ドラマの主人公あるいは白馬の王子さまに気にかけてもらうなんて。これが脚本なら一発でOUTをもらう。
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