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第10話 Wデート(後編)
「ちょっと休もうか?」
宍戸先輩がそう提案すると3人とも疲弊しきっていて、賛成する。
近くにあったパーラーで宍戸先輩はコーンに乗せたアイスを頼み、他3人は別々の種類のアイスを注文した。
「は~る~、それおいしそう、ひと口ちょーだい?」
都成先輩がここで仕掛けた。
宇良先輩は「いいよ」と言って、自分のスプーンですくって都成先輩の口元へ運ぶ。
「はい、アーン」
すごい。これが親友特権……。
都成先輩は満足そうに「うん、おいひー」と、これが男女ならフザケルなコンチクショーというシーンを万遍無く見せつけてくる。
そして次は観覧車。
しかし、ふたり乗りだそう。
これはどういう組み合わせになるんだろう?
厳正な話し合いの結果、男子と女子に分かれて乗ることになった。
うっ……宍戸先輩のこと好きじゃないとかじゃないけど、あまりにも凛々しくて、私のような陰キャな後輩なんて眼中にもないだろう。
観覧車へ宇良先輩と都成先輩が先に乗り込んだが、都成先輩は私へ振り向きピースをする。
い、いいもん。こちらはこちらで楽しく女子トークに花を咲かせますから!?
──などという幻想をみた私は愚かだった。
宍戸先輩は大人過ぎた。勇気を振り絞り、好きな俳優はいますか? と会話の糸口を探したが、「別にいないわ」とバッサリ切り捨てられて、観覧車のカーゴの窓から足を組んで遠くを眺めている。今、私がみている光景を撮影して動画サイトに乗せたら10Kいいねは確実にもらえると思う。
完全敗北&完全無音空間……。
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