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第12話 冤罪
「やっていいことと悪いこともわかんないの?」
「ち、違う、私は盗んでなんか……」
「この期に及んでまだしらばっくれる気?」
以前、私をイジメていた同級生の3人。
目の前で凄まれるが、私は盗んでなんかいない。だいいち私が衣装なんて盗んでなんの得があるのだろう。
「おおかたキアナ役は私のもの、とか思ってんじゃないの図々しい」
2年の先輩たちまで……。
「見つかったの?」
「部長、聞いてください! コイツが……」
目を伏せ、言葉の暴力を受け続けていると、宍戸部長が着替え室に入ってきた。
宍戸部長に1年の、特に私を毛嫌いしている女子が、私が盗ったと報告する。
「咲来さんホントなの?」
「いえ違います」
「まだとぼける気? アンタいい加減にしなさいよ」
「本当かどうかはともかく、この場にいる者だけで他には言わないように」
宍戸先輩の厳しいひと言で1年と2年の女子はおとなしくなった。
この場には3年生は宍戸先輩以外しかおらず、一部の1年と2年の女子だけだった。
着替え室にいた他の子たちを全員締め出して、宍戸部長がもう一度聞いた。
「わかった。私は咲来ちゃ……あなたを信じるわ」
宍戸部長と着替え室を出て、外で待機していた1年や2年にもう一度口止めした。
内部で不祥事と誤解されるようなことが外に漏れて、演劇会が中止になってもいいのか? と。
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