第12話 冤罪

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 宇良先輩や都成先輩、3年の他の先輩たちは知らないまま、誰が真犯人なのかもわからないまま、有耶無耶にしてしまうことにした。じゃないと部内の人間がそのようなことを起こしたと演劇部以外の人間に知られてしまったら、それこそ取り返しがつかなくなる事態に陥る。  ──しかし。  翌日の朝、全学年各教室に怪文書が置かれており、その内容は私、咲来常(さくらとこ)(おとし)めることだけに執着した異常な内容だった。  仲良しのクラスの女子ふたりに「大丈夫、常がこんなことする子じゃないって私たちは知ってるよ」と励ますが、それはごく一部のものに過ぎない。  この学校の大多数のものが、私を性格が悪い女だという認識されてしまった。  私の望んだ学園生活とは180度違う展開。  ひそひそとクラスのなかでも、目立たないはずの私に不躾な視線を送ってくる人達が大勢いる。  休み時間に席をあけて戻ってきたら机の中に「泥棒猫、乙」と書かれた紙が入っていた。それをみて急に気持ちが悪くなり、保健室に逃げ込み、少し休んで教室には戻らずそのまま帰宅した。  ──そして私は次の日から学校を休んだ。 
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