第一章 弦先輩! お風呂から上がったらパンツくらい穿いてください!

3/10
86人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
(パンツくらい、穿いてほしい……)  これが現在の、現実問題としての、悩みの種だ。  仕方なく、千尋は居間の真ん中に、わざわざ目立つようにトランクスを置いた。  負けが決まっているギャンブルに賭けるような心地のまま、千尋はバスルームへ入った。  穿かないと言うのなら、自分が弦の姿の見えない場所へ行くしかない。  風呂から上がるころには穿いていてくれますように、と祈った。  これまでの経験からでは、勝率は二割程度なのだが。  でも、これくらい我慢なのかな、とも思う。  パンツは穿いてほしいところだが、大好きな弦と一緒に過ごせるのだ。  少々のことは我慢だ。  千尋は気を取り直して、バスルームから出た。  弦は、やはり全裸のままだった。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!