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細い肩を引き寄せて、口付ける。求めるように伸ばされた舌先を、ガブリエルは軽く噛んだ。
「っ、……ぅっ」
「声、可愛い」
触れ合わせた唇で囁けば、袖を掴んだ手にきゅっと力が入った。
「ねえ、ロランはさ、俺のことどう思ってる?」
「…………好き、です。あなたを、失いたくない……」
「うん。俺も好きだよ。そうやって、素直に言えるロランが大好き」
華奢な躰をぎゅっと抱き締める。おずおずと背中に伸ばされた腕が抱き締め返すまで。
「そうやって、ちゃんと捕まえててよ。じゃないとどっか行っちゃうかもよ?」
「ぃ、ゃ……、嫌です、ガブリエル……」
「俺は誰の?」
「わ、たしの……」
「うん。良い子」
しがみつくロランを抱き上げる。ソファのすぐ後ろにある寝台に、ガブリエルは細い躰を抱いたまま寝転がった。胸に乗った重みが僅かに身じろぐ。
「そのまま。俺の服、脱がせてくれる?」
「……はい」
大きく足を開いて腰を跨いだまま、ロランはシャツのボタンを丁寧に外した。僅かに目元を赤く染めたその姿が、これからの事を期待しているように見えなくもない。
――こんなに可愛いのに、なんで自信ないかなぁ。最初は自分から誘ってきたくせに。……いや、違うのか。
あの時はまだ、ガブリエルはきっと、ロランの中ではただファミリーの上役でしかなかったのだろう。だから、一夜の相手くらいならどうという事はなかったのかもしれない。
はだけられた胸元に、細い指が這う。確かめるようなその仕草が、随分と愛らしかった。
「自分のだって、マーキングしてみる?」
「ぇ……?」
「俺の躰にそんなのつけるの、ロランが初めてなんだけど、どう?」
「ぁ……」
ゆっくりと、倒れ込んでくるロランの躰を抱き留める。
「ガブリエル……」
「好きなとこにつけて良いよ?」
そう言って髪を撫でれば、鎖骨の辺りを彷徨っていた唇が肌を吸い上げる。
「っふ、……くすぐったいな」
思わず口走る。反射的に離れようとするグレーの頭を、ガブリエルはあっさりと片手で押さえた。
「だぁめ。ちゃんとマーキングしておかないと、誰かに盗られるかもよ?」
「っ……」
「ほら、もっと強く吸って?」
「ん……っ」
「上手上手。消えそうになったら、また上書きしてくれる?」
「……っは、ぃ」
付けたばかりの赤い痣を細い指先で辿り、ロランはぺたりと胸の上に頬を乗せた。
「ガブリエル……」
「うん?」
「抱いて、ください……」
「ッ!」
我慢の限界だった。ロランの躰を、寝台の上にはりつける。
「っ……ぁっ」
「自分で誘っておいて、怯えた顔するなよ。余計泣かせたくなっちゃうだろ」
「ぁっ、……あなたに、なら……」
「は、素直で良いね」
言いながら、ロランの前立てを寛げる。服を脱がせるのに手間は掛からなかった。僅かに質量を増して主張する雄芯を口に含む。抵抗感は、感じなかった。
「っま、ガブリエル……!」
慌てた声が頭上から降ってくる。嫌がっているというよりは、恥ずかしいのか、それとも感じすぎるのか。めいっぱい腰を引いたせいで、僅かにあがった片足が余計に欲を煽る。
「ぃ、ゃ……っ、駄目です、ガブリ……エ、ル…」
髪へと潜り込んだ指先の抵抗は、僅かなものだった。口の中の熱が質量を増す。
――案外平気かも。
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