好き、だけどなにか違う。

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「ただいまー」 「お帰り、奏音。ちょっと話があるんだけど、座ってもらえる?」 「おう、わかった。」 妙に嫌な予感がした。母親の表情。そして、手元にある音大のパンフレット。 その嫌な予感は、的中してしまった。 「――今日、学校から電話があって。音大目指さないんだってね。私はあなたの道を貫いてほしいって思ってる。好きなように生きてほしい。別に、私たちみたいに音楽の道を進まなくてもいいの。」 「だから、遠慮はしないで、今後どうしたいと考えてるのか教えてもらえると嬉しいな。」 勝手にベラベラ喋ったのか。クソ担任が。 「……とりあえず、バイトしながら自分なりに音楽は続けようと思ってる。」 「わかった、だけどそれだったら大学に行ったほうがいいんじゃない? 音楽だって学べるに、人間関係もいろい……」 「そうやって! 親のエゴ押し付けるんじゃね―よ。別にバイトしながらでも、人間関係は学べるし。なのに、高い金払い続ける意味がわかない。」 母親は、酷い顔をしていた。俺のことをまるで、〇〇をみるような目で見てきた。 「ちょっと! 奏音! 待ちなさい!」 親は心底ショックだっただろう。18年間一切反抗的な態度を取ってこなかった俺が、いきなり反抗的な態度を取ったから。 俺が悪いのはわかってる。でも、もう、嫌だった。このまま親がひいたレールを上を走っていくのが。親の言いなりになって、生きていくことも。 つかれた、もうなにも考えたくない。 自由になりたい。 スマホを開き、インスタを開く。ストーリーを眺めていると、蒼が出てきた。友達とカラオケに行ったらしい。 かわいいな、歌もめちゃくちゃうまい。いいねをつけスマホを消す。ベットに横たわると、いつの間にか寝ていた。
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