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『 受け入れられる筈がないじゃない!そんな男同士なんて!』 自分がゲイだという事に悩んでいた頃に、そんな事を親に言われたらと思うと、足元が崩れ、奈落の底に落ちるような感覚になっていただろう。 自分の1番の味方になって欲しいのは、家族なのだから。 さっき喜一さんがお母さんに言われて、喜一さんがどう思ったかと思うと胸が苦しい。 喜一さんのお母さんだって普段は優しくて子煩悩な人なのかもしれない。 目元というか、綺麗な顔立ちはお母さん似なのかもと、この前も思ったけど、改めて見るとやっぱり似ていた。 喜一さんに子供がいたらきっと……。 お互い好きなだけで、何も産み出せない男同士なんて、やっぱり不毛なんだよね……。 ずっと傍に居たいと願っているのに、このまま一緒に居続ける事は無理なのかな……。 「――あっ!」 ぐるぐると思考を巡らせていたら、突然 背後から抱き締められて、驚いてしまった。 直ぐに喜一さんの正面へと向きを変えられて、そのまま喜一さんの腕の中で、僕の顔を覗き込み視線が絡む。 「悠、思い詰めた顔してる。嫌な思いさせて ごめんな?」 「そんな事ないから、謝らないで」 僕の肩に顔を埋めるようにする喜一さん 「巻き込んでごめん。―――嫌になった?」 そう呟かれて、僕は目を見開いた。 僕が困っている時、悩んでいる時 こうして直ぐに気が付き、ずっと俺の手を引いて、抱き締めてくれる。 全てを払拭してくれる喜一さんを嫌になる筈がない。 「嫌になってない。……喜一さんはこのまま僕と一緒にいていいの?」 「悠と一緒に居たい。俺は悠を傷付けたりしないから。だから悠もこのまま傍にいて」 彼はそう言って僕の体をキュッと抱き締める。 「うん」 いつでも優しく、僕を見守ってくれる人。 そんな人を手放せる訳ない。 そう、強く再確認した。
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