1016人が本棚に入れています
本棚に追加
楓 side
あれから2週間が過ぎた。
土曜の朝、急遽休日出勤になり、悠はオレに合わせて朝から朝食を作ってくれた。
せっかくの休日なのに申し訳ないと思いながら家を出て行く。
仕事がやっと一段落し、この日は直ぐに解散になった。
ロビーを歩いていると、胸ポケットに入れているスマホが鳴った。
スマホの通知を観ると、セフレの女からのメッセージだった。
『今日は私の誕生日なの、お祝いして?今からどう?』
中途半端な時間に仕事が終ったから仕方ない。
『おめでとう。じゃあ、プレゼント何がいい?自分で選ぶ?』
と返信したら、即返信が来た。
ショッピングセンターで待ち合わて、先にオレが着いて、暫くしてから彼女は来た。
今日は自分の誕生日だから、少し我が儘を言わせてと言われ、手を繋いで歩いて欲しいと赤い顔をして強請られた。
そんな事かと可愛く思い、手を差し伸べ、手を繋ぐ。
端から見たら仲の良いカップルに見えたのだろう。
チラチラと向けられる視線がうるさいが、悪い気はしなかった。
彼女に合わせてブラブラと店内を歩き、彼女は楽しそうに色々と見て、オレもそれなりに楽しめていた。
アクセサリーショップの入り口で、彼女はあれが見たいと指をさす。オレは頷いて中に入る。
スマホが鳴り、彼女にごめんと言って、少し離れてから、オレは胸ポケットからスマホを取り出す。
表示を見ると悠からだった。
休日出勤も普段と変わらず17時上がりだが、今日はたまたま早く上がれた。
だから、この時間は仕事中だ。
プライベートな電話は出ないように普段からしている。
だから電話に出ず、電源を切ってまたポケットにしまった。
この時またひとつ オレは間違いを犯した。
オレは彼女を優先した。
彼女の所に何事もなかったようにまた戻っていく。
悠が見ていたなんて知らなかった。
オレと彼女が寄り添い笑顔の写真が添付されていたのを見たのは、プレゼントを買って、食事をし、ショッピングセンターを出てから。
知らないうちに外は雪が積もっていた――――…
最初のコメントを投稿しよう!