5人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
再会の儀
多分、おっさんの嫁が陣痛で苦しんでいる頃、改めて私は、式神を伴い、両親と顔を合わせていた。
多数のフラッシュが炊かれる中、皇太子誠仁と、うっすら感涙にむせぶ皇太子妃美和子殿下に、堅苦しい挨拶をすることになった。
「百鬼姫と呼ばろうは、百鬼を率いる魔丞なれば、護国救命の為腐心することを誓文いたします。母上様におかれましては、どうか安んじてその責務を果たす私を、お見守りくださることを切に願います。あの、お母様、と呼んでもよろしいですか?」
にっこり笑って、目頭を押さえて美和子妃殿下が言った。
改めて見ると、この母娘は面差しがよく似ていた。
「ええ勿論です。貴女のことは、ずっと知っていたのですよ。宜しくお願いいたします。紀子さん」
そこで、ふと紀子のうしろに立つ、静也に目を移した。
「ところで、この方は?」
「はい。つまるところ、宮様の男です」
「違う!こいつただの式神です!」
公の場で声を荒らげた、民間皇女を世間は注目していた。
特に、この爽やか系イケメンは誰だ?ああこないだ日本沈没未然に防いだ若きヒーローだった。
つまり、これから2人は忙しい生活を強いられることになりそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!