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V Sオオカミビト②
人と魔物、どちらとも関わろうとせず、見つからないよう旅して暮らす修行僧のようなオオカミビト。
そのはずが人の社会の暗部にいようとは、夢にも思わず。
なんてこともない。
魔物の捉え方は知らないが、多くの人は、オオカミビトを無害な魔物と見なし、その独自の生き方を尊重している。
とはいえ、放っておかない連中もいるのだ。
人には、とんだ悪癖がある。
避けられると、余計に追いかけ、つかまえたくなる。
危険性があるからこそ、怖いもの見たさの衝動に駆られる。
遭遇や目撃率が低いほど、希少価値があると考えもする。
まさに金と暇を持てあますヤツらが、とくに追い求めるからこそ、こうした下劣な商売が成り立つわけ。
見世物にするだけでなく、水浴の習慣がある清潔な彼らの、美しく艶やかな毛並みに目をつけ、荒稼ぎしているとか。
旅の途中、オオカミビトが攫われて奴隷扱いされているとの噂をたまに耳にしたし、一回、勇者たちと助けたこともある。
助けたあと、事情を聞いたところ、脅されて屈していたのがほとんど。
今回の場合も、その可能性が高い。
というか、そう願いたい。
そりゃあ、だって、五年に一人出現するか否かの、ならず者オオカミビトに衆人環視で獣姦されたくないし・・・。
あれやこれやと気を揉んでいるうちに、道化のような司会者が進行を。
「さあさあ!お待たせしました!
あの悪名高きオオカミキの血を受け継ぎ、大昔に禁忌を犯した、その罪を背負いし、哀れで醜い化け物、オオカミビトでございます!」
ジャラジャラと鎖を引きずる音を鳴らし、俺のすこし後ろに佇んだ彼。
身長は二メートルくらい。
全身毛むくじゃらで、三角の耳と、ふさふさの尻尾。
「猛獣」がぴったりの、狼らしい顔つきをしながらも、二本足で立つさまや、手足の指が長いところなど、人らしくもある。
首輪以外、なにも身につけていなく、股間には見たことないサイズのものがぶら下がって。
助けたときに会ったオオカミビトの母と子は、俺ほどの体格で、服も着ていた。
演出もあるにしろ、比べたら、ずっとおぞましく脅威的。
彼は訳ありなのか、ならず者なのか。
判断がつかず、させてもくれず、司会が鞭をふるって、スタートの合図。
「凶暴な色狂いのオオカミビトが、血を吸い肉を噛み千切るように、むごたらしく人を犯す!
そして、恐怖と快感に震え悶え喘ぐ男のあられもないざまを、どうぞ、ご堪能あれ!」
「く・・・!」と鎖を揺らすもむなしく、背後から腕が伸びて、その手で服を裂けられた。
裂け目から手を差しいれ、胸を揉み、股間を撫でる。
手にも毛が生えているとはいえ、手のひらに肉球があり、人肌より固くざらざら。
ふつうに肌を擦られては、痛いところ。
加減して触ってくるから、ありがたいやら、逆に困るやら。
俺の体の具合を気づかうように愛撫するあたり、ならず者ではなさそう。
やや安心したのが、逆効果に感度を上げてしまったようで。
長い舌で首や肩、耳を舐められながら、胸と股間をまさぐられ「あ、はあ・・・ああ、やめ、やあ・・・!」と甲高い喘ぎを響かせてしまう。
糞ったれなセレブの観客たちを、ゲへへウヒヒとご満悦にさせたくないのに。
服が裂かれたまま、半端な状態で愛撫されるのが、やたらと恥ずかしい。
スポットライトを浴びっぱなしで、どうしたって隠しようがないから、尚のこと。
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