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このみと神社へ出掛けたあと、頭の中であの青年がずっと気になっていた。
あの夢に出てきた御神木はあの神社の御神木?
夢の中でずっとぼやけていたあの人の顔がはっきりしたのは御神木に触れたから…?
あの人と瓜二つのあの青年は私に一体何を言おうとしていたのだろう…?
とずっと悩んでいたが、それは仕事をするまでの話…
会社に来るとそれどころではなくなっていた。
「ちょっと待って足立くん…どういうこと?つまり、納期の記載を一か月間違えて発注書を送ったってこと?確認は?事前に先方に確認はしなかったの?」
私は頭を抱えながら、目の前でしょぼくれた顔をしている部下の足立りくに状況を確認する。
出社するなり、いきなり問題が降りかかってきた…
どうやら、次のイベントで使う工芸品の納期が誤って先方に伝わっていたらしく、先方からの確認で話をしている時に納期が食い違っていることに気づいたらしい。
…勘弁してよ。
心の中で嘆く。
正直、今の私の精神状態は不安定でこんな面倒なトラブルの対処をする余裕はない。
…とはいえ、主任である私は彼を放置出来る身分ではなかった。
「…すみません」
まるで、怯えた小動物のように目の前の足立くんは小刻みに震えていた。
「言ったよね?こういう工芸品はただの発注で済まさずに、発注書を送ったあとで必ず先方に訪問するか電話で確認してねって?」
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