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「大丈夫です…俺の前では無理しないでください」
あきらくんが一丁前にそんな台詞を吐く。
けれど、そんな一丁前の台詞が私の感情を曝け出してくれる。
玄関前で私はあきらくんに優しく抱きしめられたまま、思いっきり泣いた。
これは今日の出来事だけの涙じゃない…
ずっと溜め込んできた気持ちが一気に涙となって流れてきたんだ。
不倫という罪の十字架を背負った私は同じ境遇の親友のこのみと話すことで癒されてきたと思っていた。
…でも、傷の舐め合いでは罪の意識は軽くなんてならない。
あきらくんの純粋な優しさに触れて、初めて自分の愚かな過ちを後悔したのだ。
私は立ったまま、しばらく泣き続けた。
あきらくんに迷惑かけているとは分かっている。
でも、もう感情を抑えられない…
だから、あきらくんに甘えて泣いた。
…あとで全てをあきらくんに話そう。
そう心に誓う。
あきらくんは何も言わずに、ただ優しく私を抱きしめてくれていた。
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