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「どうですか?少し落ち着きました?」
部屋着に着替えた私はリビングのテーブルの前に座っていた。
あきらくんがテーブルの上に美味しそうなオムライスを置いたタイミングで私に訊ねる。
「うん、おかげ様で…いきなり泣き出してごめんね?」
と二十以上も年下の彼に申し訳なさげに謝る。
「いえ、辛い時は無理せず泣いた方がいいですよ」
「…それ高校生が言う台詞じゃないでしょ」
と冗談っぽくあきらくんを睨む。
「よく言われます」
そう笑って、あきらくんがキッチンへと向かった。
その後ろ姿を見ながら、あれで高校生とか詐欺でしょ?と心中でぼやく。
そして、あきらくんが自分の分のオムライスを運んできて、テーブルに置いてから私の向かいに座った。
「いつもありがとう」
美味しそうなオムライスを目の前にして、素直な気持ちを口にした。
「いえ、俺の我儘でここに来させてもらっているんですから、これくらいは当然です」
あきらくんが笑顔で返す。
「それじゃ、頂きます」
手を合わせながらそう言って、スプーンに手を伸ばす。
あきらくんも私と同じように手を合わせて頂きますと口にした。
「美味しい!」
オムライスを一口食べて、歓喜する。
仕事も疲れたし、さっき泣いて疲れたからか、お腹が空いていたから手が止まらず、黙々としばしオムライスを堪能した。
その様子を向かいであきらくんが微笑ましく見ている。
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