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本当は食べながら、あきらくんに私が泣いた理由を話すつもりだった。 でも、気づくと食べ切ってしまっていた。 「あきらくんが食べ終わったら、少し聞いてほしい話があるの」 スプーンをお皿の上に置いて、あきらくんに伝える。 「俺なら食べながらでもいいですよ?」 あきらくんがそう言うならと、こくりと頷く。 「…実はね。私…ずっと長い間、同じ職場の上司の人とお付き合いしていたの…」 あきらくんがほぼ視線を私に向けながら、オムライスを食べる。 「…でも、それは普通のお付き合いではなくて、相手には奥さんも子供もいて、いわゆる不倫ってやつだったの」 私の話にあきらくんは別段表情を変えることはなかった。 それを確認してから話を続ける。 「…自分がしていることが悪いことだって分かっていた。でも、彼と過ごす時間は仕事で疲れた私の心を癒やしてくれたの。彼も私を愛してくれた…だから、いけないことだと知っていても、関係を続けてしまった」 あきらくんがどこか真剣な表情で私の話に耳を傾けてくれていた。 あきらくんの手は止まって、スプーンはまだ食べかけのオムライスが載った皿に置かれている。 「…でも、彼が大阪にある本社に異動になった時、彼に家族を捨てるから私に一緒についてきてくれと言われたの…その時、目が覚めた」 そう語りながら、後悔が胸をギュッと締めつける。
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