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「私が今も彼と不倫しているって言われてた…ううん、彼が大阪に異動になったあとも関係は続いていた思われてた。まあ、実際に不倫をしていたのは嘘じゃないし、噂があったこともなんとなく分かってた…でも、実際に噂されている会話を聞いたのは初めてで、かなりショックだった…」
と言ったあとで苦笑する。
「…まあ、私にショックなんて受ける資格なんてないんだけどね。悪いことを平気でしておいて、陰口を言われて傷ついた?どの口が言ってるのよって感じだよね?」
あきらくんの方を見て言った。
けれど、あきらくんは何も言わない。
…分かっている。
あきらくんは私を責めたりはしない。
「分かったでしょ?私はこんな女なの…あきらくんが思うような大人でも女性でもないの…」
あきらくんから目を離して嘆く。
「違いますよ」
あきらくんが否定する。
その言葉についムッなって、顔を上げてあきらくんを睨んでしまう。
「…何が違うの?私は不倫するような女よ?」
私の言葉にあきらくんが首を振った。
「俺が違うと言ったのは俺が思うのりこさんとのりこさんが俺が思っていると思っているのりこさんと違うということですよ」
あきらくんの言葉に思わず頭が混乱する。
「…えっ?」
私がそう訊き返すと、あきらくんが笑った。
「俺はのりこさんが別に不倫をしないような女性とも思っていないですし、世間的に悪いことをしない大人だとも初めから思っていません」
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