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と疑いの目を向ける。 「ないです。出会った頃は前世の記憶が鮮明でのりこさんのことしか考えられずにいたから余計にそんなことはなかったと思います」 あきらくんが真剣な眼差しでそんなことを言ってくる。 「もう、分かったから…」 と目を逸らす。 あんな真っ直ぐな目で見られたら、心臓が持たない… 「…でも、あきらくんに話せて良かった。何だかスッキリした」 膝を抱えて、視線を床に落としながら言った。 「俺ものりこさんの話が聞けて良かったです」 あきらくんはそう言って、残っているオムライスを再び食べ始めた。 すっかり冷めてしまって申し訳なさが込み上げてくる。 初めて話したあのファミレスでも、同じように私が長い話をして、ハンバーグが冷めてしまっていたことを思い出す。 あれから、そんなに経ってはいないのに、もう随分と一緒にいる気がした。 「食べ終わったら、また何かで遊ばない?」 私がそう訊くと、あきらくんが頷いた。 「そのつもりで今日はこれを持ってきました」 あきらくんがスプーンを一旦置いて、近くにあった自分の鞄から何かを取り出した。 「オセロ?」 「はい。来る途中で家電量販店のおもちゃコーナーに寄って買ってきました。のりこさんとやりたくて」 あきらくんが無邪気に語る。 「オセロやったことあるの?」 私の問いにあきらくんが首を横に振った。
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