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その表情に全部負けたけれど、オセロをして良かったと素直に思う。 「あきらくんが喜んでくれたのなら良かった…でも、次は負けないから」 とオセロを片付けながら、リベンジマッチを宣言する。 すると、あきらくんが微笑ましい表情を浮かべて私を見ていた。 「良かった。すっかり、元気になって…」 あきらくんの台詞に数時間前に泣いていた自分を思い出す。 どうやら、私と同じことを思っていたようだ。 でも、相手は高校生。 心配されていたことに少し情けなくなった。 その後、私とあきらくんは10分くらい揉めることになる。 原因はオセロの代金だ。 あきらくんは自分がやりたくて買ってきたのだから、私にその代金を貰うのは違いますと主張。 私は先週の金曜日に何か二人で楽しむものを考えておいてと頼んでいたので、それがきっかけであきらくんはオセロを買った。 だから、そのオセロの代金は私が払うべきだ。 「…だから、何度も言ってますがこれは俺が欲しくて買ったんです。さっきから俺の話を聞いていますか?」 さっきまでの笑顔が嘘のようにやや怒った表情であきらくんが私に言った。 「あきらくんこそ私の話を理解してる?私が頼んだようなものでしょ?なら、私が払うべきだ。大体、高校生の癖に年長者の言うことが聞けないの?」 と負けずに反論する。 「聞けません」 あきらくんがきっぱりと言う。 …もう、ほんと頑固な子。 「聞きなさい」 私はあきらくんに顔を寄せて、力強く言った。
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